「スマホサイト必要ない」が8割超のアンケート結果にはいろいろ疑問が残ります
いろいろ疑問が残るアンケート結果だなぁ。
楽天リサーチを活用して、スマホユーザー100名に対し、スマートフォンからPCサイトとスマホに最適化したスマホサイトのどちらを活用しているかを尋ねたところ、実に8割以上が必要性を感じていないと回答したというのです。
このアンケートを実施したのは、有限会社いろはの代表・竹内謙礼氏。
これだけ読むと、スマートフォンサイトの全てに対して必要性を感じないという結果に見えてしまうんですが、どうもそういう感じじゃないんですよね。
※スマートフォン所有者
※インターネットで月に1回以上商品を購入したり、サービスを利用したりする人
※画面を見て「スマートフォン専用サイト」と「PCサイト」の見分けがつく人via. スマホ専用サイトは本当に必要か? - 竹内謙礼の「経営コンサルタント」
上記の条件でアンケート対象者を絞っていること。
かつ同氏が自身でコンサルしている案件(文脈からECサイトや有料サービス系だと思われる)がスマホサイトを制作したら売上が落ちたという話が数件あって、このアンケートを実施したこと。
この2点から考えるに、明らかにECサイトや有料サービス系におけるスマホサイトでの利便性を問うたものなんじゃないかと思われるわけです。
そもそもスマートフォンサイトを制作して売上落ちましたっていうのも、設計・仕様が甘くて、ユーザー心理を考えて作ってない、あるいは安上がりな業者に表示の最適化だけさせたとか、そういうレベルだろうっていうね。
フィーチャーフォンサイトのディレクション経験からですが、EC系でPC以外のデバイスに最適化したサイトで売上を伸ばすのは、ホントに難しいんですよ。
ただスマホに対応しましたくらいじゃ絶対に売上伸びません。これは経験上断言できる。
ちと個人的な感情ぶつけちゃいましたが、とにかくこのアンケートはかなり限定的な結果だとしか思えないんですよね。それに、この手のアンケートで母数が100っていうのも少なすぎ。
また、このアンケートで「スマホサイトを閲覧中に見づらいという理由で表示を切り替えたことがあるか?」という質問がされていて、スマホサイトが見づらくてPCサイトに切り替えたという回答が6割を超えているという結果が出ているんですが、これもちょっとねぇ。。まぁ「これでホントに最適化してるの!?」っていうサイトはたまにあるので、回答者がよほどそういうサイトにぶち当たったことがあるんでしょう。
というか、この質問で「特に切り替えたことがない」人は2割をちょっと超えるくらいなんですが、これを合わせて「スマホサイトの必要性を感じない」というところに結びつけるのは、あまりにも恣意的じゃないでしょうか。
質問の意図からして、切り替えない=見づらいと思わなかった、というだけで必要性を感じないことにはなりませんって。
ちなみに、当ブログもスマホ対応していて、PCビューとの切り替えをできるようにしているので、試しにどの程度切り替えられているのか計測してみたところ、わずか0.0007%しかありませんでした。
見づらいという理由で切り替えられたかどうかは判りませんが、スマートフォンにきちんと最適化していれば、この程度の数値で収まるはずなんですよ。
それこそ、このアンケートを実施する経緯となった、「売上を伸ばすためのスマホ専用サイト」を制作するとか、ちゃんちゃらおかしいわけです。
持論ですが、スマホ専用サイトにしろレスポンシブにしろ、ユーザーの環境に最適化させることが本分。見栄えだけじゃなく情報アーキテクチャも含めて、どのデバイスからも同程度の情報量、利便性、ユーザー体験を提供できるかが重要。PVや売上の向上はその結果付いてくるものですし、最適化の上に積み重ねることでより伸ばしていくものだと思ったほうがいいでしょう。
個人的に懸念なのは、アンケートを見て「ああ別にスマホサイトいらないじゃん」と鵜呑みにし、大きな機械損失を生み出しかねないサイトやサービスが出てくること。
こういうアンケートを鵜呑みにせず、本当にスマートフォンに最適化する必要があるかどうかをしっかり分析しなきゃいけません。
下手な業者に頼むと、「何が何でもスマホサイト作らないとダメです!」なんて言ってくるので、しっかりとした業者の選定からする必要はありますけどね。
分析をした上で最適化が必要だと判断できたなら、しっかりとした予算を組んで最適化施策を実施しましょう。低予算で進めると予算なりの結果になってしまいます。下手をすればやらなきゃよかったなんてことにもつながりかねません。