モバイルのディレクターに必要な最低限の7つのこと
キャリア公式のモバイルウェブサイトのディレクターとして活動し、今はフリーランスのモバイルウェブディレクターとしてやらせていただいています。
そんな僕が考えているモバイルのウェブディレクターとして、必要最低限これだけは押さえておこうという7つのことについてまとめてみました。
キャリアの仕様書は必ず読む
なんだかのっけから勝手サイトというよりはキャリア公式サイト寄りの話になってしまうんですが、これは結構重要な話。
キャリアの仕様書ってのは、詰まるところdocomo、au、SoftbankといったケータイキャリアがCP(コンテンツプロバイダ)に対して提供しているシークレットな資料になります。
端末やサイトの仕様書、各種サービスの仕様書などなど、ネット上では流れていない、報道向けにだって流れていない情報ばかりが掲載されています。
書かれている内容は確かに難解でめんどくさいことばっかりな上に、資料としては頻繁にアップデートされていき、書かれている内容がどんどんと膨大になっていくという、やっかい極まりないものではあるんですが、ディレクターとしてサイトを構築・運用していくにあたって、絶対必要なものと言っても過言ではありません。
「あれ、これってどうなってんだっけ?」なんて時に、必ず仕様書を調べるようにしたほうがいいでしょう。
とは言っても入手するにはCPにならないといけないんですけどね。。
ただ、勝手サイトしかやってないにしても各社が一般向けに公開している技術情報だけでもかなりの情報量になるので、確実にそれらのチェックを怠らないようにしておきましょう。
実機検証は怠らないこと
結構コレが出来てないっていう話はよく聞きます。
いや、まぁ確かにめんどい、しんどい作業であることは間違いないんですけど、ディレクターとしては絶対的にぞんざいにしてはならない作業です。
最近はFirefoxのアドオンを使えば、ブラウザからモバイルサイトの表示を再現させることもできますが、やはり実機での表示と比べると再現しきれているとは言い難いところもありますからね。最終的には必ず実機検証を行っておくことが必要です。
また、この作業を行う上で最も気をつけたいのがチェックする端末の数。
docomo、au、Softbankの3キャリアそれぞれ、少なくともメーカー違いで最低2機種以上、計6機種以上でチェックを行いたいところです。
というのも、端末によっては画面解像度が同じでもブラウザ表示領域に違いがあったり、特定のメーカーによっては何故か表示がうまくいかない、プログラムが動かないという現象が発生したりするので。
端末の仕様は同じでも、実際の表示では機種によって違うとか、「ちょっそれどうなん?」と突っ込みいれられまくるわけですが、いずれにしてもそうした対策として実機でのチェックは怠らないことが肝心です。
フリーランスになってしまうとこの辺はなかなか難しいですね。
ひとりで複数キャリアと契約するのはなかなかしんどいし、コスト的にもえらいことになりますから。。
作業の効率化を忘れないこと
どんな仕事でもそうだとは思いますが、ディレクターとしては作業効率も考えていかなければなりません。
特に運用面、というか更新作業の効率化を図っていくことが重要でしょう。
更新作業は割とルーティンだったりするので効率化しやすいものです。
そうした更新作業を効率化することで、新規サイトの企画立案、既存サイトを盛り立てるための企画立案といった効率化しにくいものに時間を割り振ることが出来るようになってきます。
日々の更新作業は重要なものですが、それだけで利用者数の増加や、収益の拡大は見込めません。
サイト全体としてのレベルを上げるには、効率化できない作業が重要。その為にも効率化が可能な作業はないのかを常に考えていく必要があります。
細部のクオリティ向上を意識する
モバイルサイトというのは小さな液晶画面に表示されるものなので、ユーザーの視線が一箇所に集中しやすくなっています。
その為、細部のクオリティが低いと、それらが際立ってしまい全体のクオリティを低く見せることになりかねません。
逆に言えば細部のクオリティを向上させることが全体のクオリティ向上に繋がるということ。常に細かいところまでクオリティを意識していく必要があるわけです。
例えば誤字脱字の徹底的なチェックを行ったり、画像ひとつひとつの質の高さを考えたり、タイトルやキャプション、キャンペーンテキストといったものの文言をよりよくしたり、画面の遷移に気を遣ったり、これらのことに対して徹底的に拘り抜く姿勢を身につけましょう。
こうした地道な拘りがサイト全体のクオリティを向上させることになります。
言葉の演出力を磨く
前述のクオリティにちと掛かる話ですが、モバイルサイトの場合、言葉というのが非常に重要です。
というのも画面が小さいので、表示できる情報量はPCと比較したらとてつもなく少ない。
だからこそタイトルやキャッチコピー、ある程度の長さを持つ文章、これら言葉が関わるものを、深く考えていかなければなりません。
そうしたテクニックは様々なところで公開されていますが、あまりそれらに依存してしまうと、それぞれ違うサイトなのに画一的に見えてしまうことがあるので、あくまでもそうしたテクニックは参考程度に留め、サイトのコンセプトやサービスのユーザー層を意識して考えていきましょう。
知識を持つことは重要なので、キャッチコピーの付け方などの本を読んでおくことはオススメします。
数字と数字でないものをきっちり意識する
モバイルサイトにおいて数字は非常に重要な要素です。
会員数やダウンロード数、アクセス数、ECなら売上、キャリアからの情報料収入、運用に掛かるコンテンツ制作費など。
キャリア公式サイト、勝手サイト、サイトジャンルによって多少の差異はあれど、常に数字を把握しておく必要があります。
これらの数字を把握し、常に素早い対策、迅速な対応を行っていかないといけません。
また、数字ではないものも意識しておく必要があります。
先ほどもあげた会員数など、数字だけで追っていると、ついつい利用してくれているユーザーという存在を忘れがちです。
モバイルだけに限ったことではないですが、ユーザーと直に接する機会が基本的にあまりあるものではありません。
そのせいかユーザーが何をどう考えて利用しているのか? といった点に目が行かないなんていうことが往々にしてあるわけです。
ユーザーは数字ではなく生身の人であることを忘れちゃいけません。
そう言う意味で、ユーザーがどう考えているのか、何を思い望んでいるのか、といったことを突き詰めて考え、サポートに寄せられた要望、クレームといったものを真摯に捉えるのも必要なことです。
自分自身がユーザーたれ
モバイルサイトを仕事としてやっていても、ケータイでそれらを行うわけではありませんから、当然ながらPCへの接触割合が非常に高くなります。
その為、なかなか自分自身がケータイを使って、様々なサイトにアクセスしたり、サービスを利用したりすることが少なくなります。
中にはモバイルの仕事をしていても「全然使わない」なんて人がいたりしますが、出来るだけ意識してケータイから様々なモバイルサイト、サービスを使っていくようにしていきましょう。
例えば新しくサービスインしたサイトをキャリア提供サイト(週刊iガイドなど)からチェックしたり、キャンペーンや特集でどのようなものが行われているのかなど、動向をチェックしたりと、自分自身がユーザーになって、ユーザーとしての視点を養いつつ、モバイルサイトに対する感覚を磨いていくことが必要です。
最後に
以上色々書き連ねたわけですが、僕自身まだまだ出来ているとは言いがたいこともあったりして、ある意味自戒的なことも考えてまとめてみました。
総じて言えることは、モバイルサイトってかなり面倒なことばっかりなんですよね。
例えばキャリア公式サイトの場合、会員数の整合とったりしなきゃいけないとか、コンテンツ制作する上でもキャリアによる仕様の違いや端末のスペックの差があるので、それらに対応したコンテンツをその分作らなきゃいかんとか、もうねホント面倒。
これらまとめたことは、僕自身が経験してきたことから現時点で考えていることですが、これからモバイルの世界に入ろうとか考えてる人にとって、参考になってくれたら良いかなと思います。