WordPress 5.8 リリース クエリーループブロックなどが追加

日本時間で2021年7月21日、WordPressの最新バージョンとなる「WordPress 5.8」がリリースされました。いわゆるメジャーアップデートになります。
毎度のことながらコードネームはジャズミュージシャンにちなんだ名前が付けられるWordPressですが、5.8のコードネームはジャズピアニストであるArt Tatumアート・テイタムにちなんで『Tatumテイタム』と名付けられています。

今回はメジャーアップデートということもあり、新機能がもりもり。また、切り捨てられたものもあります。

ブロックによるウィジェット管理

WordPressでテーマカスタマイズする上では欠かすことのできないウィジェットですが、WordPress 5.8からウィジェットエリアに対して、投稿と同じようにブロックを使えるようになりました。というよりもブロックに置き換わったというほうがいいかもしれません。

これまではテーマ側で用意されているウィジェットエリアに対し、目的のウィジェットを入れるというかたちでしたが、ウィジェットエリアに対してブロックを入れるという流れになります。

さらっと書くと大した変更ではないのでは? と思うかもしれませんが、なにげにこれまでよりも拡張性が高いことになっているので、今までよりもウィジェットの活用頻度が高まることは間違いないのではないでしょうか。

なお、以前のウィジェットを使いたい場合は、別途WordPressプラグインを導入することで利用できるようになります。ただし、少なくとも2022年まで、あるいは必要な期間、サポートとメンテナンスが行われるとのことなので、いつまでも以前のウィジェットを使うわけにはいかないかなと。できれば新しいウィジェットに移行し慣れる必要がありそうです。

なお、以下のコードをfunctions.phpに書き加えることでも、ブロックウィジェットを無効化することができます。

remove_theme_support('widgets-block-editor');

クエリーループブロック

個人的に、このクエリーループブロックの登場が今回の最大の目玉なのではと思っています。

例えば、メインクエリとは別にサブクエリで任意のカテゴリやタグなどの条件から記事の一覧を出力させる場合、これまでであればテーマ内の既存ファイル、あるいは新規ファイルを作成し、PHPを使って出力のためのコードを書く必要がありましたが、クエリーループブロックが登場したことで、ブロックを使って同様の出力をさせることができるようになったわけです。

WordPress 5.7以前も「最新の投稿」というブロックがありましたが、要はこれをもっと強力に、より複雑にしたブロックだと思ってください。

なお、これ以外にも多くのブロックが追加されています。追加されたのは以下のものです。

ブロック説明
サイトロゴサイトのロゴを表示するブロック
サイトのキャッチフレーズサイトの説明を表示するブロック
サイトのタイトルサイトのタイトルを表示するブロック
アーカイブタイトルアーカイブのタイトルを表示するブロック
投稿のカテゴリー投稿のカテゴリーを表示するブロック
投稿タグ投稿のタグを表示するブロック
投稿タイトル投稿や固定ページ、その他投稿タイプのタイトルを表示するブロック
投稿コンテンツ投稿や固定ページの内容を表示するブロック
投稿日投稿の日付を追加するブロック
投稿の抜粋投稿の抜粋を表示するブロック
投稿のアイキャッチ画像投稿に紐付けたアイキャッチ画像を表示するブロック
ログイン/ログアウトログインやログアウトのリンクを表示させるブロック
投稿一覧先頭固定表示の投稿を除く、最近の投稿一覧を表示するブロック

このほか、各種ブロックがアップデートされており、主にテキストや背景の色を変更できるようになっているようです。

デュオトーンフィルター

画像ブロックやカバーブロック内の画像とビデオに対して追加できるフィルターが追加されました。

デュオトーンは2つの色を組み合わせて表現するデザイン手法のことで、ダブルトーンとも呼ばれるものです。補色関係にある2色を使用することで写真の被写体を目立たせ、雰囲気を変えるなどの効果があります。

Photoshopなどを使って実現していたことが、WordPressの投稿画面でサクリと実現できます。

シェイプキューブのプレスリリース素材より
アップロードした画像にデュオトーンを適用

フィルターにはあらかじめ8種類の補色関係にある組み合わせが用意されているほか、自分で色を選択して組み合わせることもできるようになっています。

PDFの埋め込みをサポート

ファイルブロックにてPDFファイルの埋め込みがサポートされるようになりました。
投稿内でPDFファイルをプレビューすることができます。

WebP対応

新たにメディアへアップロードできる画像形式にGoogle謹製のWebPがサポート対象となりました。
これまでもWordPressプラグインである「EWWW Image Optimizer」をインストールすることで、アップロードした画像ファイルをWebPに変換・圧縮することができましたが、今回の対応により、自前で用意したWebP形式の画像をそのままアップロード、投稿に使用することができます。

あくまでもWebP形式の画像をアップロードできるようになるだけで、上述したプラグインのように他形式の画像を変換してくれるわけではないので、非対応ブラウザのことを考えると、プラグインを利用しておくのがいいのかなと思います。

Internet Explorer 11のサポートを終了

先日、お知らせしましたが、WordPress 5.8をもってInternet Explorer 11のサポートが正式に終了となりました。

Internet Explorer 11でダッシュボードにアクセスすると警告のボックスが表示されます。

年内に実装されるフルサイト編集に向けたアップデート

本バージョンのアップデートは、2021年中に実装予定となっている「フルサイト編集」に向けたアップデートだと言えます。

フルサイト編集は、ヘッダーやフッター、サイドバーなど、サイトのすべてのパーツをブロックエディターで編集を可能にする機能で、対応するテーマであれば、PHPやHTMLを知らなくてもコードに頼ることなくサイト全体のデザインを変更できるようになります。

先述した「クエリーループブロック」は、まさしくフルサイト編集における要とも言えるブロックですね。

ひとまず自分自身で運用しているサイトに関しては、すべて5.8に切り替えたので、そろそろフルサイト編集に対応したテーマをスクラッチしてみようかと思います。

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